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お知らせとたわごと

アーカイブ(2008.09~2008.12)


2008.09.03

演奏会のお知らせ

10月27日(月),トッパンホールで,私の師匠である善養寺惠介師のリサイタルがあります. 今回は,文化庁主催の芸術祭参加公演となっています. これまでのリサイタルは「虚無尺八」と称して,ほとんど古典本曲のみで構成されていましたが,今回は少々趣向が異なり,箏曲の古典曲もプログラムに入っています. 曲目は,調子,秋風曲,残月,布袋軒 鈴慕. 平日ですが,開演は午後7時です. どうか多数,おいでください. 入場料は前売りで3000円(当日3500円)です. 前売り券は,私にお申し付けくださればご用意いたします. 因みにこのリサイタルは,さすがに私ごときが出演するようなものではありません. せいぜい,当日の裏方を手伝っている程度です. 善養寺師の演奏会情報は http://zenyoji.jp/concert.html をご覧ください.

11月23日(日)は,紀尾井ホール(小ホール)にて,「三曲歌ざんまい」があります. この第一部(11時開演)は,いわゆるお浚いかいですが,第二部(16時開演)は,コンサート形式になります. この第二部で,私の編曲している「無海ジ」が演奏され,私も演奏者として参加します. 入場料は3000円ですが,もしよろしければおいで下さい. 紀尾井ホールの公演カレンダーは http://www.kioi-hall.or.jp/calendar/index_s.html にあります. なお,同日,虚無僧研究会の献奏会があります. 私は毎年これに参加していますが,今年はどうしようか,悩んでいるところです.

12月7日(日)には,町田市民ホールにて,「第17回 保坂優 社中 箏パフォーマンス」というのがあります. 詳しいことはまだ聞いていませんが,私はここで,アルゼンチン・タンゴの名曲「ラ・クンパルシータ」の演奏に参加することになりそうです. 楽器は .... ケーナではなくて,もちろん尺八です. いったいどんな編曲になっているのか,ちょっとまあ,怖いもの見たさという心境です ^^;) 入場料は2000円だそうです. ご案内は, http://japan.japo-net.or.jp/event/2008/12/07/17_2.shtml をご覧ください.

これはおまけですが (^^;) 9月20日(土)は,私の近所の神社の奉納演芸大会に出ることになっています. 下永谷神明社(横浜市港南区)というところで,私の出番は5時15分から5時半までの予定です. 「コンドルは飛んで行く」,「アルフォンシーナと海」,「花祭り」を考えています. 私は尺八&チャランゴ,他にケーナ&ギター,ボンボの3人の予定です. さて,どんなことになりますやら.


2008.09.19

奉納演芸会

明日は,近くの神明社(上述)の秋祭りの奉納演芸会です. 曲目は「コンドルは飛んでいく」,「灰色の瞳」(変更しました),「花祭り」の3曲で,みな南米のフォルクローレです.

11年ほど前に尺八を習い始めた時,私の中では(大袈裟に言えば)フォルクローレは封印したのでした. 音楽は違いすぎ,楽器は微妙な違いが感覚を狂わせそうで,怖かったのです. 今回は地域デビューの一環のつもりですが,しかし,これはいきなり本曲を吹く場面ではないな,とりあえずうけ狙いならフォルクローレかな,ということで,11年ぶりにやってみることにした次第です. でも11年ぶり .... 大丈夫でしょうか.

もちろん,尺八は使います. 灰色の瞳は尺八で吹きますし,コンドルの一部も,ケーナと合わせて尺八を吹きます. まあ,尺八を吹くのはなんとかなるでしょう. 心配だったのは,ギターやチャランゴです. チャランゴは正真正銘の11年ぶりです.

ところが,いざ練習してみると,不思議なことに身体が覚えていました. コード進行なんて,考える前に勝手に指の方が反応します. 歌詞もそうです. 花祭りの歌(スペイン語)なんて,11年間歌ったことはありません. それでも歌い始めると,勝手に歌詞が口から出てきます. 大したもんだ,と我ながら思ってしまいます(^^;)

でも,身体が覚えていているだけでは駄目な部分もあります. 身体は覚えていて動こうとするのに,細かいところは実際にはついていけない,あるいは力(筋力)が足りなくて押さえきれない場合もあります. これは,加齢による衰えということでしょうか. ここ2週間ほどリハビリに努めては来ましたが,そう簡単に回復できるものではありません. もっとも悲劇的なのは,声です. 11年間,そもそも歌というものをほとんど歌いませんでした. 大きな声は出ないし,小さい声も安定しては出ない. とにかくピッチのコントロールが利かず,ずいぶんと音痴な歌になってしまいます.

そんな不安材料もたくさんありますが,それでも,11年ぶりの「明日」は楽しみです. 不安材料も,なんだか一種のスリルのような快感にもなります(ほんのちょっとですけど). フォルクローレは11年ぶりですが,その間,フォルクローレなんかやっていても絶対に踏めないような舞台(国立劇場!)も踏ませてもらいました. それなのに今,たかが近所の神明社の奉納演芸会に国立劇場と同じくらいの緊張を感じるのは,いかにも妙です.

ただ .... 台風の影響が心配です. テルテル坊主でも作りたい気分です.


2008.09.20

奉納演芸会終わりました

心配だった台風は,明け方までにはどこかに行ってしまい,いい天気の一日になりました. 神明社の奉納演芸会,無事終わりました. 出番が特別出演の上永谷中学吹奏楽部の次だったのはちょいとやり難かったですが,まあまあの出来だったでしょうか. 因みに,上永谷中学は神明社のすぐ近くの中学ですから,近所の子や孫だったりするし,吹奏楽のコンクールではそこそこの賞をとっているところですからけっこう上手いし,人数もいて迫力はあるし ....

PAを通した演奏というのは,11年ぶりです. マイクの使い方を,ちょっと忘れていたかも知れません. ケーナと尺八では,マイクの位置(高さ)も違うようです. どうも私の尺八だけマイクがうまく拾ってくれないような気がしていたのは,ヒガミか言い訳でしょうか.

今回は,まったく私の内輪のメンバーでの演奏でした. ギターとケーナは,かつて一緒にグループをやっていた,私の弟です. もう一人,ボンボは,家内です. 家内は,演奏ということをするのは初めてで,果たしで無事できるかと心配もしていましたが,なかなか,ちゃんとやってくれました.

ところで私は尺八の他にチャランゴを担当しましたが,出番の直前になって気がついたのですが,なんと! 私が人前でチャランゴを弾くのはこれが初めてなのでした. それで昨日はよくも「身体が覚えている」なんて偉そうなことを書いたものです(^^;) G7のコードがどうも時々もつれるのは,もともとちゃんと弾けていなかったんだったかも知れません(^^;;) でもまあ,無事に終わったので,よしとしましょう(^^;;;)

さて次は,紀尾井ホールのことを真面目に考えなくては ....


2008.09.23

アーカイブ

このページの5月から8月の分は,アーカイブにしました.

血圧

何年か前から血圧が高くなり,ついに,時々上が170mmHgに達するような状態になってしまいました. それで,この4月から通院を始め,血圧降下薬を飲むようになりました.

服用を始めて,とりあえず血圧は下がったのですが,どうもイマイチ,140mmHgまでは下がりません. 8月半ばから,薬が1ランク強いものに変わりました. そして,9月初旬にはやっと130mmHg台まで下げることができました. やれやれ,一安心です.

でも,どうやらこれは,その薬の効果ではなかったようです. 薬を強くしたころから,さすがに心配になって,極力塩分を控えるようにしたのです. 好物の「カツオの酒盗」はやめ,漬物は食後に食器を洗う沢庵一切れだけにしました. 煮物も味噌汁も薄めの味付けになりました.

ところが,これで安心したのがいけなかったのでしょう. 9月2週めあたりからだったか,いつの間にか漬物は平気で食べるようになり,味付けも気にしないようになっていました. その結果でしょう,最近,血圧がまたしても高くなっていました. 160mmHgに届きそうです. 再び心を入れ替えて,塩分を控えることにしようと思います.

下のグラフは,ここ1ヶ月ほどの私の血圧の様子です. 起床後30分ころの,用足し後で朝食前に計った値です. 各々の値は,3(あるいはそれ以上)回測定した平均としています.

この経験から言えることは,塩分を控えるか否かで,血圧が上で20mmHg以上,下でも10mmHgくらい,変わるということです. そしてその効果は,2週間程度ではっきり表れる,ということです.

なお,私が「塩分を控える」というのは,難行苦行のようなことではありません. ちょっと気を付ける程度です. 「酒盗」で白御飯をバクバク食べるのをやめる,白菜の漬物をおかずにするのをやめて最後に沢庵一切れを食べる,小ネギやエシャレットや葉生姜やキャベツやニンジンや諸々の野菜に味噌をつけて酒のつまみにするのをやめる,とか,そんな程度です(あ~美味そう~).

とにかくまあ,ちょっとした努力であってもそれを不断に続けるということ,それがあらゆることで大切なんでしょうね.


2008.09.28

更新情報

着物ちょっと話に,記事を一つ加えました.

着物 ... と言えば,つい何日か前までは暑くって,単の着物も着たくない感じで,麻(小千谷ちぢみ)ばかりを着ていました. それが今朝は突然に寒く感じるほどで,やっと単を着て出かけられました. でも,もうすぐ10月,単でなく袷でなきゃ寒い季節になってしまいます. せっかく作った単なのに,ほんのちょっとの間しか役に立ちません.

はたして昔もこうだったのでしょうか. 昔から単の着物って,役立たずだったのでしょうか. 最近の季節の進みがおかしいのではないでしょうか.

季節 ... と言えば,昨日,ミンミンゼミが突然鳴きだしました. こんな季節にミンミンゼミとは..... しかもちょっと,奇妙な鳴き方でした. なんだか,心配になってしまいます.


2008.10.03

禅に問う

私の禅の師匠である形山睡峰老師が,最近,本を2冊出版しました. 一冊は大法輪閣刊「禅に問う」 ISBN978-8046-1274-4 C0015 (本体1800円)です. これは月刊誌「大法輪」に連載していたものをまとめもので,禅に関する本格的な本です. もう一冊は佼成出版社刊「心が動く一日一話」 ISBN978-333-02341-7 C0295 (本体1200円)です. こちらは,見開き2頁に収まるエッセイ集で,順番も関係なく,気軽に読める本です.

私が坐禅を始めたのは,私が尺八を習い始めたのとほとんど同じ時期(坐禅の方が3ヶ月早かった)でした. つまり,もう10年以上も,時には少しは本格的に(つまり形山老師の下で),残念ながら今は月にたった一度(法身寺の坐禅会)程度ですが,なんとか続けてきました. しかし,もちろん,悟るだなんてことはありません. じゃあ,何のために坐禅をするんだろう,坐禅をして何になるんだろうとは,いつも思っていることです. この頃少し思うことは,坐禅をするというのは,いわば心のストレッチのようなものではないか,ということです.

雑念を離れるというのは容易なことではありません. しかし,雑念を離れて,それでどうなるの? という疑問もあります. 雑念を離れるというのは,たぶん,何も考えないことではありません. 本当に考えなきゃならないことを妨げるものが雑念なんじゃないでしょうか. それを離れるというのは,大変な力の要るものです. そういう力をつける心あるいは脳のストレッチ. 坐禅をそんな風に捉えるのは間違っているでしょうか. 間違っていないとしても,まだまだ相当に幼稚な段階ではあるでしょうね (^^;)


2008.10.12

なんだか忙しいことに

なんだか忙しことになってきました. もちろん生業の方もいろいろ忙しい季節になってきますが,それはさておき,尺八の方が(^^;)

11月23日紀尾井ホールの「三曲歌ざんまい」での「編曲 霧海篪」は前から決まっていたことですが,練習スケジュールは立て込んで来て,でもその割には思うように纏まらないし,だんだん焦ってきました.

それに加えて,別の出番が回ってきてしまいました. 12月7日(日)町田市民ホールの「保坂優 社中 箏パフォーマンス」は,「ラ・クンパルシータ」一曲だけでいいと思っていたら,「六段調」,大月宗明作曲「梵」,それに「カチューシャ」と,結局4曲担当することになってしまいました. 問題は,すべてやったことがない曲だということ(あの有名な六段だって,私は習ったことはありません). 楽譜は受け取りましたが,六段を除いてみんな都山譜です. 残念ながら私は,都山譜(琴古譜でも)は初見では吹けません. とりあえずぜんぶ五線譜に書き直しましたが,クンパルシータとカチューシャはパート譜しかなくて,おかずの旋律や後打ちリズムやらが多くて,さっぱり曲がわかりません. 梵は,全部で4楽章ある大曲です. しかも,変拍子です. 4/4 と 3/4 が混ざる程度ではなくて,7/4 だの 7/8,10/8 だのと,とんでもないです. こんなもの,そう簡単に合わせられるわけがありません.

それなのに大問題は,11月23日のこともあって,12月7日の方は下合わせ無しの,ぶっつけ本番になる可能性があること('O') です. えらいことです(_ _;;)

おまけに....,11月1・2日には,北鎌倉で「匠の市」というイベントがあります. 昨年の春のこのイベントには虚無僧で参加させていただきましたが,今回また,誘われています. まだ本当に参加できるか確定できないでいますが,せっかくなので,行きたいと思っています. ただ.... 「鹿の遠音」をやろうと誘われているので,う~ん,これちょっと練習しないとなぁ(^^;) というわけで,ますます忙しくなりそうです.

首が回らないで目(@x@)が回りそうです.


2008.10.24

酒井松道リサイタル

昨夜は,銀座の王子ホールで,酒井松道さんのリサイタル「尺八の系譜」を聞いてきました. 松道さんは,竹保流宗家の三代目で,私は仕事がらみ(尺八譜情報処理システムの構築)でお世話になっています. リサイタルは,会場が狭かったせいもあり,満席で,入りけれない人が出るほどの盛況ぶりでした. 徳丸吉彦先生を始め偉い先生方や尺八界の重鎮が多数いらっしゃいました. 顔見知りはあっちにもこっちにも....

演奏曲目は,最後を除いて,すべて古典本曲で,しかも伝承の途絶えかけている(珍しい)曲です. 伝承を途絶えさせてはならないという思いは伝わって来たと思います. ただ,演奏の微妙なところが,少し何と言うか....,ちょっと現代的な感じがする一方で,曲全体としての構成が若干希薄な印象を持ちました.

最後の曲は諸井誠作曲「竹籟五章」だったのですが,今回,少し手が加えられて,「松籟五章」と改題されていました. 今回のリサイタルの中で,もっとも活き活きした演奏,本領発揮だったかも知れません. 「竹」が「松」に変わったのは,元は竹保流宗家二代目の酒井竹保(松道の兄)のために(竹保の協力で)作曲されたのでしたが,松道が演奏するようになったから,なのでしょうか.... 会場ではこの曲の楽譜を売っていましたが,ちょっと見てもどこが変わったのか分かりません. なお,私が情報処理の研究テーマで最初に取り上げたのが,実は,この「竹籟五章」の五線譜から都山流尺八譜への自動変換でした. そんなこともあって,この曲には私としても少しの思い入れはあるのですが,改題されると.... う~ん

合奏編曲「虚鈴」

昨夜の会場では,大阪芸大の志村禅保さんにも会いました (終演後は一緒に居酒屋にも行きました). 酒井松道師は志村さんの師匠でもあります.

さてその志村さんから,私の気になっていたことの報告をいただきました. 10月13日,三重県四日市の「ともしびコンサート」で,私が昨年に編曲した「虚鈴」を,志村さんと大阪芸大の助手や大学院生たちの合奏で演奏して下さったそうです. 第14回ともしびコンサート「悠久の調・尺八本曲の世界」と題するコンサートです. 本曲ばかり7曲演奏した中の,フィナーレとして使っていただき,首尾よく行ったとのこと. 安堵しました. 当日のパンフレットと録音をいただき,自宅に帰ってさっそく聞いてみました. さすがにプロ,セミプロの演奏,本格的です. ただ,野外コンサートだったので,虫の大合奏も一緒に入っていて,ちょっと聞こえにくいところもありましたが(^^;) なお,音の合う楽器が調達できなかったのですべて半音高い管を用いた,とのことでした.


2008.10.26

甲州乙黒 明暗寺

昨日,山梨に行ってきました. 山梨には「笛吹川」という川があり,この川の名前は昔から気になっていました. そして,尺八を始めてからはさらに,この川の畔に「明暗寺」という虚無僧寺があったことを知り,ますます,とても気になっていたのでした. 一度行ってみたい,と,以前から思いながら,近くを通ることはあってもなかなか寄ることができないでいました.

昨日,やっと念願かなって,明暗寺のあった山梨県中央市の乙黒という所に行ってみました. 寺はもちろん跡形もなく,ただ,「史跡 甲州乙黒 明暗寺跡」と書いた碑があり,脇に虚無僧のような形の灯篭が一基立っているだけでした.

この碑を探し出すのはちょっと大変でした. カーナビに入っているわけはなく,手持ちの地図にもなく,中央市発行のパンフレットにも場所までは書いてありませんでした. そこでまず,明暗寺の菩提寺であった永源寺を訪ねました. ご住職にいろいろお話を伺い,御本堂では献笛もさせて頂きました. ただ,普化禅師坐像は,4月29日のれんげ祭りの日にしか公開できないとのことで,直接見ることはできませんでした.

ついでに,もう一つ気になっていた所 ―― これはそんなに前からではなくほんの1年ほど前からで,しかも主に気になっていたのは私ではなくて家内ですが ―― にも行ってみました. 笛吹川フルーツ公園の上にある,「ほったらかし温泉」です. 確かに噂どおりの眺望でした(昨日は雲が多くて,富士山はほとんど見えませんでしたが). ただ,ちょっとイメージが違い,もう少し人の少ない秘境のような感じかと思っていましたが,食事処も整い,休憩所もあり,土産物も売っていて,そりゃあまあ,市街からすぐ近くなんですから,当たり前ですね(^^;) でもその店で売っていた地場の野菜や果物などは,なかなか良かったです. 原木シイタケ,ナメタケ,ブドウ,柿,などなどを買いこんで来ました. とりわけ,ムカゴには大感激.

家内と二人,車での行程でした. 行き帰りの車中では,目白から最近出た尺八教則CDの「六段之調」を繰り返し聞いてみました. このCDの面白いことは,同じ曲(黒髪,六段之調)が,琴古流(善養寺惠介)と都山流(田辺頌山),さらに尺八無しのカラオケ(筝・三味線・唄 田辺雅美和)の三つ組で入っていることです. お二人の演奏を聴き比べると,流派の違いなのか人柄の違いなのか,その両方なのか,いろいろ違うことが聞こえてきて,勉強になりました. なお,この教則CDには譜字付きの五線譜がついています(五線譜部分を作ったのは私(^^;)です). 今度,舞台で六段をやることになり,私はこれで練習するしかありませんので,本気で楽譜(五線譜)を見ていたら,結構ミスがみつかりました. おそらく改訂というのはないでしょうから,仕方ないですね(^^;;) 申し訳ありません.

流派といえば,上の五線譜作りで知ったのですが,同じ曲でも琴古流と都山流では,楽譜(五線譜)レベルではとても同じ曲とは思えないほど違うんですね. 記譜の流儀も違い,一方が4拍子で書くところが他方は2拍子. そんなことはいいとしても,息継ぎの位置は違うし,そもそも旋律型からして異なります. 先日聞いた関西の「竹保流」では,どんな六段なんでしょうか..... 違う流派が合同で演奏したりしたら,いったいどんなことになるのかと,心配になってしまいます. 今度の12月7日は,琴古流と都山流が合同だそうです :p


2008.10.28

善養寺惠介 尺八演奏会

私の師匠・善養寺惠介の「尺八演奏会」を聴いてきました. 昨夜,会場は東京・飯田橋の「トッパン・ホール」でした. 今回は文化庁芸術祭参加公演で,これまでの尺八古典本曲だけで構成してきた「虚無尺八」シリーズとは異なり,筝や三弦との合奏もありました. 演奏は「普大寺 調子」「秋風曲」「残月」「布袋軒 鈴慕」の4曲です. 1曲目と終曲は古典本曲ですから尺八一本ですが,2曲目は筝,3曲目は筝・三弦との合奏です.

最初は,「なんでこんなプログラムにしたんだろう,本曲だけの方がいいのに」と思っていたのですが,聞いて,納得しました. この4曲,結局,全体で古典本曲の構造になっているのでした. 最初の「調子」は文字通り「前吹き」,「本手」に相当するのが筝との合奏の「秋風曲」,そして「高音」に相当するのが筝・三弦との合奏の「残月」. そして最後に再び,古典本曲の「布袋軒 鈴慕」. 「布袋軒 鈴慕」は鉢返に特徴があるので,私は「感謝の曲」というイメージを持っていて,従って私的には終曲としてぴったりに感じます.

「なるほど!」と私は思いましたが,もしかすると,いろいろ議論が出てきそうな気配もありますね. 2曲目のところで,近くの席からは少々不満そうな感想が聞こえて来ましたが,私はこの曲にぞくぞくするようなものを感じました. この曲の筝の山登松和師とは「Zen Yamato」というユニットを組んで何年も一緒に活動している仲で,この曲も何度も演奏していて,本当によく練り上げられた息の合った演奏でした. 筝と尺八(調子とこの曲では尺八はA管だったでしょうか)がこんな風に合わせられるというのは,今まで考えたこともありませんでした. なお,内緒ですが,私には最後の鈴慕はちょっとテンポが速すぎたように感じました .... って,そりゃ私がいつも師匠に言われてることじゃないですか(^^;)

数日前には,酒井松道師の尺八だけのコンサートを聴きました. その時と比べると,客層がだいぶん違うようでした. 松道師の時は年配の男性が圧倒的に多く,若い女性は少なかったように思いました. それに対して昨夜は,年寄りばかりが目立つということはなく,若い男性はもちろん,若い女性も少なからず居たように思います. 年配ではないという程度の女性は,かなりたくさんいました. 逆に,松道師の時に見かけたような大御所の先生(学者)は見ませんでした(私の顔見知りがいなかっただけなのでしょうが). (会場の平均年齢は昨夜の方がかなり低かったようですが,演奏中の咳が妙に多いのはなぜだろう,という感じもしました).

今回は単なる聴衆として会場で演奏を聴きました. 思えば,入門直後のリサイタルを聴いた後は,毎回,裏方の仕事があって,チケットを持って会場に入ることはありませんでした. なかなか普通では入れない,いろいろなホールの楽屋裏を体験できたのは,いい勉強になりました. でも今回は,仕事無し. F君やI君などの若者が裏方で活躍しているのを客席から見ると,有難くもあり,頼もしく,でもちょっと寂しいような,複雑な気分です.

会場で,いろいろ妙なものを頂きました. 神田可遊さんからは「山陰尺八道場門人会機関誌 創刊号・2号」なるものを頂きましたが,法身寺の小菅和尚(虚無僧研究会会長)からいただいた信州産「虚無僧茸」は凄いです. 初めて見るキノコですが,たしかに虚無僧に見えます. さっき,味噌汁にして食べちゃいました. ちょっと松茸の香りにも似ていて,とても美味でした. でも,「虚無僧」食べて祟りはないでしょうねぇ(^^;) (先日の山梨のムカゴ,原木椎茸,ナメタケ,柿 ... 秋ですね).


2008.10.30

私の名前

私の本名は坪井邦明ですが,初めての人に名前の「邦明」を正しく読んでもらったことはありません. 普通は「くにあき」と読みますが,私は「くにはる」と読みます. 「明」を「はる」と読むのはかなり珍しいですが,無いわけでもありません. 早稲田大学(以前は北大)の先生でヴェトナム政治史がご専門の坪井善明という方がおられますが,「よしはる」と読まれます. 姓まで同じだからと言って,4歳年上の私の兄,ということはありません,念のため ^^;)

読みが普通でないからか,時々,名前を誤記されることがあります. 先日,近所の神社の奉納演芸会に出ましたが,その時のプログラムには,「坪井邦男」となっていました. いっそ,「つぼいくにお」ではなくて「つボイノリオ」くらいに間違ってくれたらそれはそれで楽しかったのにね ^^;) なお,私は静岡県人であって愛知県人ではありませんので,念のため.

あまりにも読んでもらえない名前なので,別の名前が欲しいものだとずっと思っていたところ,得度名を頂くことができましたので,今はその得度名「坪井應龍」をしばしば名乗っています. ところがこれがまた,厄介な名前です. 自分では「おうりょう」と読んでいますが,たいてい「おうりゅう」と読まれます. 「龍」を「りょう」と読むのは,坂本龍馬(さかもとりょうま)と同じなのですが.

私が「おうりょう」と読んでいるのは,名前を下さった老師様が「おうりょう」と仰ったからなのですが..... その老師ご本人の編集・発行される冊子「至道」に,私の「着物話」が少しリメイクして連載されているのですが,そこには「おうりゅう」と振り仮名が付いています. 連載1回目の時に指摘しそこなってそのままになっているのですが,う~ん,名前を下さったご本人がそう仰るなら,読みを変えなきゃならんかな.... ^^;;)

ところでこの「應龍」の字ですが,誤記されることがとても多いです. 今はあまり普通には使わない字で変換し難いことと,ゴチャゴチャした字なので,解像度の低いパソコンの画面では間違っても判読し難いからでしょう.

「應」は単に「おう」ではなかなか変換できませんから,例えば慶應大学の「慶應」とやって慶を消します. ところがうっかり應の方を消して,「慶龍」としてしまうことがあります. これは自分でもたまにやりますが,最近とあるコンサートのプログラムがこうなっていて,慌てて直して頂きました. あるいは鳥の「鷹」と見間違われて,「鷹龍」とされることもあります(なんだか強そうな名前ですね). 先日も,とあるコンサートのチラシで虚鈴の編曲者名が「鷹龍」になっていました. インターネットで「坪井鷹龍」を検索すると,3年前の福島の安洞院で行われた虚無僧研究会の献奏会の記録の頁がヒットします.

厄介なことをしないと変換出来ないので,しばしば字の順がひっくり返ることもあります. 恥ずかしい話ですが,自分でもやっちゃいました. 「合奏編曲 普大寺 虚鈴」の譜面やDTMでの音を収めて配布用に作成したCD-Rのラベルが「龍應」になっていました. すでにいくつか配布してしまっていて,穴があったら入りです. このCD-Rをお持ちの方,申し訳ありません,訂正をお願い致します _o_


北鎌倉で虚無僧

今度の土曜・日曜(11月1・2日),北鎌倉の「匠の市」というイベントで,虚無僧パフォーマンスをしてきます. 円覚寺~東慶寺~浄智寺のあたりに出没します. たぶん,明月院から365歩の喫茶店「笛」にも行ってこようと思っています. 「笛」のマスター山端さん,先日の善養寺師のリサイタルにも来て下さっていました. 「笛」ではかつて,善養寺師のコンサートもさせていただいたことがあります. ご挨拶がてらに.

ただ,心配なのは,なんだか風邪をぶり返しそうな感じがしていることと,当日の天候です. 私の虚無僧衣装は,今回も白の麻の単です. これ,完全に夏物です. 下にできるだけ温かいものを着ようと思いますが,それでもあまりにも寒かったら,辛いです. そうなったら,白とか黒に拘らず,どうせパフォーマンス,伊達虚無僧ということで,普通の着物で天蓋被りましょうかね.

なお,どちらかの日が雨だった場合は,11月3日(月)に延期されるそうです.


2008.10.31

更新情報

着物ちょっと話に,記事を一つ加えました.


2008.11.01

虚無僧,一日目

北鎌倉の「匠の市」の虚無僧の一日目. 今日は,あまり一ヶ所に立って吹かないで,歩き回っていた(たかが1万歩ちょとですが)せいでしょうか,偈箱はほとんど空っぽのままです(全部で250円.電車代の720円にも及びません). あとは,ミカンを一ついただきました. 誰か一人でも偈箱にお金を入れて下さると,他の人も続いて入れて下さいます. おそらく,そういう文化を知らないんでしょうね.

でも,写真はものすごく撮られました. そのうち,ネットにもいくつか載るんだろうと思います. シャッター一回十円,ポーズ一回百円とか,書いておいたらどうだろう,なんてことを思いついちゃいました(^^;)

カメラごしに私を見ている人,私の方でも天蓋の中からカメラを見ていることには気付かないのでしょうね,何の断りも無しに,真正面から平気でカメラを向けてきます. もう慣れましたが,なかなか妙な気分です.

尺八を吹きながら歩いていたら,変な(いや,変なのはこっちの方が上ですが)オジさんがすれ違いざまにすごく驚いた様子で,わざわざ戻って来て前に回って,まじまじと私を見ます. なにか因縁でもつけられたら厭だなぁ,と思っていると,「無孔笛」と書いてある私の偈箱を見ながら,いきなり
男:「何を主張してるんだ?」
『え? 何を主張と言われても...』虚無僧中は喋ってはいけないので,困っていると,偈箱の下にセロテープで吊るしてある「匠の市」のチラシに気がついて
男:「なんだぁ,本物じゃないのか」
『う~ん,そう言われては!』
私(天蓋を被ったまま):「虚無僧ですが,今日はこの(チラシを指さしながら)イベントのお手伝いをしています」
そのオジさん,胡散臭そうに私を見ながら,
男:「じゃ,何処の寺の者だ?」
私:「東京の法身寺のお世話になっていますが」
私がすかさず答えたので,オジさん,ちょっとたじろぎつつ,
男:「そりゃあ何宗だ?」
私:「臨済宗です」
男:「本山はどこだ」
私:「法身寺は臨済宗円覚寺派ですが,我々虚無僧は本当は普化宗という宗派です」
男:「ああ,山岳信仰か!」
私:「いえ,禅宗です」
男:「そうか,山岳信仰はホラを吹くやつか」
私:「はい,尺八を吹くのは普化宗です. でも,その普化宗は明治の初めに無くなったので...
男:「廃仏毀釈か」
私:「はい,そうです. それで今は臨済宗のお世話になっていて.....
男:「ああそう.じゃあ,寺はないんだ」
私:「いえ,例えば,虚無僧の寺で一番有名な明暗寺(みょうあんじ)は,京都の東福寺の塔頭として存在しますよ」
男:「京都? 何条にあるの?」
私:「何条って,え~と,南の,伏見の手前あたりですが...
男:「じゃあ,京都駅より南か」
私:「はい」
やっとオジさん,納得してくれたようで,様子も穏やかになってくれました.そして
男:「じゃあ ... 頑張ってください」
私(尺八を捧げて,低頭しながら):「ありがとうございます」
あ~ やれやれ,でした(^^;)

今日(明日も)は,円覚寺塔頭の龍隠庵のお世話になりました. 本堂と書院の観音様に,献笛もさせていただきました. 明日はなんとか龍隠庵へのお布施になるくらい偈箱に入ればいいんですが.


2008.11.02

虚無僧,二日目

疲れました. 二日間ほとんど立ちっぱなしでしたから,とりあえず足は疲れました. でもそれより,今日は,長管を一日吹いていたので,右腕がズキズキしています. 本当は二尺七寸管(G管)を一日吹こうと思ったのですが,それはちょっと無謀. 二尺五寸管(A♭管)にしておきました. それでも,今の私にはこれで虚無僧するのは1日が限度です.

今日は若干,≪御喜捨オリエンテッド≫な行動をしてみました. ツーショットに応じたり,背景のいい場所に立ってあげたりと,積極的に被写体になることにしました. どうやら,音よりも絵になる方が効果大みたいです. おかげで,今日は偈箱が重くなりました. それでも,昨日と合わせて1987円. お世話になった龍隠庵にまとめて布施させていただきました. これっぽちでは,龍隠庵の復興の足しにはなりませんけど.

今日は特に面白い事件はありませんでした. 昨日のようなことがあったので,今日は念のために虚無僧研究会の会員証を携帯したのですが,使う機会はありませんでした(^^;) なお,昨日の記録で中で書き洩らしたことがあったので,追加訂正しました.

因みに,すでに昨日の私が,ネットに登場しています :p ここです. たぶん,これからまだいくつか登場するんでしょうね(^^;;)


2008.11.07

禅をきく

臨済会・妙心寺派東京教区主催の「禅をきく」という講演会を,有楽町のよみうりホールで聞いてきました. よみうりホールは,懐かしいホールです. 昔,フォルクローレをやっていたころ,いろいろ聞きに行ったところです.

今日の講演は,作家の立松和平さんと相国寺派管長の有馬賴底老師でした. 立松さんは,仏教関係の月刊誌「大法輪」で,以前は聖徳太子,その後,道元禅師の小説を連載していました. 今日のお話「山で会った観音様」も,いいお話でした. 有馬老師もなかなか面白いお話をなさる方ですが,残念ながら,時間切れになってしまったようです.

ところで,チラシには開演6:20と書いてあったので,ちょっとぎりぎりですが,6:10ころに会場に入りました. 私が会場に入ったちょうどその時,舞台の袖に虚無僧の一団が消えていくところでした. 虚無僧は国泰寺妙音会で,知り合いも何人か参加していて,これを聞くのも今日の楽しみであったのに,なんと,開演前の時間にやってしまうとは,ちょっと主催者には一言文句を言いたいところです. ちゃんとプログラムにも

  法竹演奏
   佛曲「虚鈴」「蓬莱」
       大本山 国泰寺妙音会
と書いてあるのにですよ.


2008.11.08

五線譜

このごろ,五線譜を使う機会がやけに増えています. 尺八用のカラオケ作りはもちろん五線譜(DTM)だし,古典本曲の合奏編曲も五線譜でやっています(最後は尺八譜にしますが).

12月にやる筝の演奏会で何曲か尺八を吹くことになっていて,その楽譜を渡されましたが,それ,みんな都山流の尺八譜です. 私は都山流ではありませんし,そもそも,三曲合奏は習ったことがありません. そんなわけで,とても尺八譜だけで合奏(ほとんどぶっつけ本番)に臨む自信はありません.

それで,その楽譜をせっせと五線譜に変換しています. 今日は一日がかりで,六段之調を五線譜にしました. この曲はすでに五線譜を用意していたのですが,なにやら,いきなり5度高い(「ロ一」とかいう)バージョンになってしまったので,やりなおしです. そんなことする暇があったら尺八の練習したら? と笑われるかも知れませんね(^^;)

でも,私にとって五線譜の方が読みやすいということの他に,五線譜なら途中で落としちゃっても,メロディーの形が目で見てわかりますから,すぐに復帰できるという,利点があります. 文字ばかり並んだ尺八譜ではそうはいきません. ただ問題は,五線譜は尺八譜の倍ほどの頁数になってしまい,譜めくりが大変になることです.

もう一つ,別の話題.

先日,勤務先で妙な依頼がありました. 勤務先(短大です)の設立何周年とやらのセレモニーを企画しているのですが,昔の「校歌」という譜面が出てきたとか. 現スタッフはだれもその曲を知らないけれど,当時のOBには喜んでもらえるだろうし,話題性がある,だそうです. そこで,当日それを尺八で吹いてくれないか,ということでした. これはとりあえずお断りしました.. その代わり,編曲して音源でも作りましょうか,ということにしました. これで,勤務時間中に堂々と音楽ソフトを操作していられるわけです(^^;) で,ここ数日,校歌の編曲をしていたわけです.

校歌なんて,要するに,甲子園で流れるような,あのラッパ中心の,ちょっとクラリネットとかピッコロとかでおかずをつけてやればいいわけで,お茶の子....と軽い気持ちで取りかかりました. 何しろ,当時は全寮制の男のみの学校だったそうですから,まあ,軍歌か行進曲みたいなもんです. 中学以来,いわゆる「ブラバン」(私はフルートとピッコロ)をやってきましたから,こういうのは身体に染み込んでいるはずです. ところが,やってみると,なんともうまく行かない. とくに,クラリネットとかピッコロとかの「おかず」がうまく行かない.

しばらく悩みましたが,わけがわかりました. こういう「おかず」の旋律は確かに身体に染みついてはいるのですが,たとえば,身体が覚えているのはフルートの指遣いなのに,それを意識が音として五線譜に記譜するとき,尺八で処理してしまっているのでした. だから,どうしてもクロマチックな(半音階的)進行の無い,なんとも間の抜けたものになってしまうのでした. 原因さえわかればなんとかなる....かな?  そのセレモニーはもう1週間後です. 間に合うかな(^^;;)


2008.11.09

五線譜(続)

五線譜か文字譜かという件で,重要なことを一つ,忘れていました.

私は随分と目が悪くなりました. 近視ではありませんでしたが,老眼が進んで来ました. でも問題は,それよりも,乱視です. 乱視のせいで,物が上下に何重にも見えてしまいます. そもそも乱視に気付いたのが,何かの数式の意味がさっぱりわからず頭を抱えていて,実は-(マイナス)が=(イコール)に見えているからだ,と気付いた時でした. 今では,五線譜が7線譜や9線譜くらいに見えたりします. そうなるともう,演奏は不可能です. 音高が判別できなくては,どうにもなりません.

そこへ行くと,文字譜は,比較的問題ありません. 文字の種類は限られていますから,まるでわからなくなることはありません. たまに細かい付加記号を見落としたり間違ったりしますが,五線譜みたいなことはありません.

私の目は,これからもっと調子悪くなるに違いありません. 老眼も,かなり演奏する時には辛いです. 特に邦楽の舞台では,正座して,床に譜面を置いたりしますから,譜面が決して近くではありません. 乱視に加えて焦点距離も合わないと,もう,どうにもなりません.

これ以上目が悪くなったら,五線譜は使えなくなってしまうのかも知れません(そう思うと,ぞっとしますが). 逆に,文字譜は老人向きの楽譜と言えるのかも知れませんねぇ(^^;) .... いえ,もっと完璧なのは,暗譜してしまうっことです. う~ん .... でも,視力の減退と記憶力の減退と,どっちが先か ....


2008.11.17

五線譜(続々)

昨日,12月7日のコンサートの下合わせをして来ました. いやぁ,大変なもんです(^^;) 果たして,本番はまともに演奏できるんでしょうか. (それにしてもお筝や三味線の合奏というのは,大変なもんですね;下合わせというより,音合わせみたいなもんです).

私の楽譜は,歌詞欄に譜字を書いた五線譜です. 文字譜から五線譜を起こし,さらに歌詞欄に譜字を入れるのは,結構大変な作業でした.

しかし,こういう譜で演奏すると,意外な問題があることに気付きました. 五線譜だけなら自然にドレミで読んでいて,旋律が頭に浮かびますから,指もスムースに動きます. ところが歌詞欄にロツレがあると,ついそっちも読んでしまいます. そうすると,ドレミとロツレが頭の中でぶつかって,早いパッセージでは頭での処理が間に合わなくなって,結果として指が混乱してしまいます.

かと言って,(都山流の)ヒとロの使い分けや,高音域のタ,大甲レ,大甲チだのが連続して出てくるあたりは,やっぱり譜字がほしいです. そこで,どうしてもほしい譜字を残して,後は消してしまいました. このほうがずっと演奏しやすくなりました. ついでに五線譜もコンパクトにできました. おかげで,譜めくりも楽になりました.

紅葉狩り

今週は1週間,まるごと休暇をとりました(永年勤続20年の特別休暇とかいうもので,連続してとらねばならない休暇です). 明日から2泊3日で,京都に紅葉狩りに行ってきます. 紅葉にはちょっと早いのかも知れませんが.

京都にはこれまで,夏休みとか冬休みにしか行ったことがありません. 観光シーズンの平日の京都なんて,初めてです. なお,今回は本当に単なる観光です. 札所に行く予定はありません.

京都から帰ると,いよいよ紀尾井ホールです.


2008.11.21

京都に行ってきました

京都の紅葉狩りに行ってきました. 今回は,生まれて初めての「パック旅行」. ずっと添乗員付きのバスでした. いやぁ,気楽なこと. ただ,一ヶ所の時間が決まっているのが残念ですが,もし時間の制限がなかったらこんなにたくさんは回れなかったでしょう.

三千院から寂光院に架かった虹 初日の18日はまず三千院と寂光院,夜は高台寺のライトアップの紅葉. 三千院,寂光院とも,市内よりは紅葉が進んでいて,かなり綺麗でした. 初日は少し妙な天気で,時々時雨のような雨にあいました. でもおかげで,寂光院の近くで素晴らしい虹に出会いました. 自然はほんとうに素敵です. 一方,ライトアップはちょっといかがなものか,と思ってしまいます.

初日の妙な天気を境に,急に寒くなってきました. 突然,1月の寒さになってしまったとのこと. 京都には夏の暑い盛りと冬の寒い時しか行ったことがなく,初めて絶好の行楽シーズン‥‥のはずが ..... でも,そのおかげで,紅葉が一気に進んだようです.


高山寺の紅葉 二日目の19日は,三尾巡りというそうですが,高雄の方の高山寺(鳥獣戯画の寺),西明寺,神護寺,そして嵐山の大覚寺を回りました. いずれも見事な紅葉でした.

最終日の20日は,南禅寺,永観堂禅林寺,東福寺(通天橋の紅葉,やっと見られました),そして醍醐寺三宝院を回りました. 寒さで,急に紅葉が進んだのでしょう,紅葉は見事で,一方,人出は大したことありませんでした. まさにラッキー!でした.

東福寺に行く途中,明暗寺の前を通りました. 明後日は虚無僧研究会の献奏大会ですが,当初,今年はこの明暗寺で開催しようという案があったそうです. しかし,明暗寺の周辺はこの季節,まったく身動きとれない状況になるため開催は不可能,ということでボツになったそうです. 平日であり,紅葉が予想されていなかった昨日でも,大したことはないとは言っても明暗寺の前にも交通整理の係が立たねばならないほどですから,きっと明後日あたりはほんとうに身動き取れないに違いありません. でも,もし,明暗寺で開催されていたら,私はそっちに行ったかも知れません. そうすると,たまたま同じ日の紀尾井ホールはどうなっていたことか(^^;)

今回は紅葉狩りの観光であって,お寺巡りではない,と思っていたのですが,やっぱり行き先がお寺だと,ただ紅葉を見るだけというわけにも行きません. それぞれのお寺では,お参りもしてきました(永観堂の「みかえり阿弥陀」は変わった阿弥陀様ですね). 尺八も荷物の中に入れてはいましたが,団体旅行,さすがに今回は献笛は断念しました‥‥というか,あの人込みの中で尺八なんか吹いていたら,叩き出されるに決まっています.



2008.11.22

尺八の割れる季節

さていよいよ明日は紀尾井ホールの本番です. いかがあいなりますやら.

明日は私は,2尺7寸の長管(G管)を担当します. これは現在の私の指が届く限界です. でもまあ,指はなんとかなります. しかし,しばらく続けて吹いていると右腕が痺れてきて,腱鞘炎のようになってしまいます. たった1曲ですが,無事吹き切れますか....

でも,もっと深刻な問題は,その尺八が割れていることです. 割れたのはもうしばらく前のことですが,割れは内部までは達していなかったので,とりあえず濡れタオルでくるんで一晩もおいたら,裂け目は閉じました. でも,そのまま使っていると,また開いてきます. そんなことを繰り返していて,気がつけば,割れは4か所にもなっていました. ちゃんと修理してもらおうと思ってはいるのですが,なかなか暇がなく,しかたがないので自分でテグスを巻いてみました. テグスを巻いて以来,割れ目が開いてくることはありません. テグスを巻いた2尺7寸管

テグスを巻いた部分 テグスの巻き方はわからないので,昔,フォルクローレ時代に,ケーナに飾りで巻いていたのと同じようにやってみました(テグスもそのころ買ったものです). 何の器具も使わず,手で引っ張って巻いただけです. ですから,こんなやり方でいいのかどうか,甚だ自信はありません. とりあえず割れ目が閉じているからよしとしていますが,とにかく明日の本番は無事終わらせてほしいものです. (まあ,この尺八の製管師も明日の出演者の一人なので,いざとなれば何とかしてくれるでしょう^^;

これから冬になると,尺八のよく割れる季節になります (暖房器具の近くにむき出して尺八を置くような無謀なこと(^^;)は,くれぐれもなされないように).

私のテグスの巻き方が正しいかどうかはわかりませんが,役に立っているのは確かです. まだ割れていない大事な尺八たちには,予防のためにテグスを巻いておこうかと思います.



2008.11.24

「編曲 霧海篪」

「編曲 霧海篪」の演奏は,まあまあ,そこそこの結果だったかと思います. お聞き下さった方,感想などお聞かせいただければ幸いです.

いまさらですが,素人の本曲吹き中心の合奏でやるには,やっぱり編曲が少し難しすぎたかも知れません. 特定のパートにかなり難しいオリジナルの旋律をそのまま使ってしまいました. 本来は独奏の旋律ですから,それを多人数(当初,こんな大人数 ―ソロを含めて14人― の合奏は想定していませんでした)で合わせるのはなかなか困難です. しかもそれが並行4度(D管とA管で同じ手です)になっていますから,ちょっとずれてもかなり耳障りになってしまいます. そしてその部分だけは,尺八ソロ(善養寺師が担当)も休みですからとにかく目立つ,最大の難所です. でもまあなんとか,大きな破綻はなく終わりました.

次回に向けて,三虚鈴の残り一曲,「虚空」の合奏用編曲がたぶん期待されているのだと思いますが,今はちょっと疲れたなぁ,という気分です. さて,どうしましょう. 今のところ,アイディアは浮かんでいません.

尺八用眼鏡

ところで昨日の自分の演奏に関して心配していたことの一つは,正座で床に置いた譜面がよく見えないことです. 自分で作った曲なのに覚えてないの?と思われるかも知れませんが,そうは行きません.

いつも使っている遠近両用眼鏡では,譜面までの距離が遠と近の中間のまさに中途半端なところで,とても見にくいのです. 本番前夜,ふと思いついて,度が合わなくなって(老眼が進んで^^;)使えなくなっていた近距離用の眼鏡を探し出しまた. ぶっつけですが,本番ではこれを使ってみました. そしたらこれがなんと,ちょうどいい具合. ちょうど譜面の位置あたりに焦点があうのでした.

以前どこかで,「尺八用眼鏡」という広告を見たことがありましたが,なるほどこういうことか! と納得した次第です. いずれにしても,遠近両用眼鏡は,譜面を見ながらの演奏には不向きですね. 焦点距離が視線の角度で変わるようになっているわけですから,演奏中の顔の角度の自由度が無くなってしまいます.

しかし次回の町田での演奏は,椅子で譜面台を使うそうです. そうすると,これはまた譜面との距離が違います. ちょうどいい眼鏡を探す方が,練習より大事かも知れません(^^;)

演奏前の食べ物

笛類の演奏本番前には,決して食べ物を食べてはいけません. 飲み物は,用足しの心配は別にして,構わないでしょう. でも,食事は演奏ができなくなります. まず,満腹では集中力が保てません. それよりなにより,唾液が出なくなって,口の中が乾き,笛は吹けなくなってしまいます.

昨日は朝寝したことと,出番が夕方だったことで,食事時間の調整がうまく行きませんでした. 食べないと空腹になりそうだし,食べたら演奏に支障がありそうだし. そこで,出番の1時間半ほど前に,カロリーメートを半分だけ食べました. このくらいなら大丈夫だろう,ということで.

さて,演奏が終わって,虚無僧研究会の懇親会(日が重なって献奏大会には参加できませんでした)に顔を出そうとしたところ,どうも腹の具合が良くない. それで,結局,まっすぐに帰宅してしまいました(法身寺で待っていて下さった和尚様や皆様,申し訳ありませんでした). 疲れただけかと思ったのですが,帰宅してすぐ,下してしまいました. 食べ物のせいだとすると,思い当たるのは,本番前に食べたカロリーメートだけです. なにしろあれ,夏に西国の札所巡りの非常食用に買って,暑い車中にしばらく置きっぱなしだったものでした. もしそのせいだったとしたら,影響の出るのが帰宅してからで助かりました. 本番前とか演奏中に発症していたら .... ぞっとします. やっぱり,本番前の食事にはくれぐれも気をつけましょう.


2008.12.02

「霧海篪」曲目解説

先日の三曲歌ざんまい(紀尾井小ホール, 11/23)で会場配布用とのことで作文した「霧海篪」の曲目解説を,ここに公開します.

会場で実際に配布されたのかどうか,現物を見ていないので分かりませんが,演奏前の緞帳が下りている間に,これがそのまま場内アナウンスされていました. 目で読むように書いた文なので,耳から聞いたのでは分かり難かったことだろうと思います. 読み上げ原稿にするんだと言ってくれたら,そのように書いたんですけどね.


2008.12.08

コンサート終了

保坂優社中の「筝パフォーマンス」というコンサート,昨日,無事終了しました. 「無事」とは言うものの,いやぁ,いろいろありました. 面白い体験でもありました. ただ,なかなか文章ではあらわし難いので,お会いできる方には酒でも飲みながら .... (^^;)

これで,今年のコンサートの類は終わりです. あとは,12月23日に百錢会(善養寺惠介社中)の納会(新宿の法身寺本堂),12月31日の百八曲献奏会(法身寺本堂,こちらは一般の方も参加可能です)だけです. どちらも,一応内輪の会でもあり,そもそも他人に聞かせるための演奏ではありません.

ところで,来年の話ですが,やっぱり恐れていた(^^;)ことが起こりました. 編曲です. これまでに,虚無僧の根源の曲3曲のうち,2曲を編曲してきました. あと1曲,「虚空」が残っています. 昨日の楽屋で,「来年用にやって」と,師匠から言われてしまいました. 応諾したわけではありませんが,まあ,やらざるを得ないでしょうねぇ. これまで編曲のアイディアがまるで湧かなかったのですが,昨日のコンサート中に,ふと,アイディアのかけらみたいなものを拾ったような気がします. 果たしてうまく行くかどうかわかりませんが,また1年,頭を悩ませることになりそうです.


2008.12.19

右手が腱鞘炎?

このところ,右手・右腕に痛みを感じています. 肘と手首,それに指の関節も少し.腱鞘炎のようです.

昔,20年程も前でしょうか,ひどい腱鞘炎になったことがあります. 職場でコンピュータのキーボードを打ち続け,休憩にはヘッドフォンを付けて電子ピアノの鍵盤を叩き,勤務時間外にはギターやチャランゴを弾きまくり,あるいはケーナを吹きまくり,休日はドロップハンドルの自転車を乗り回す..... あれでは腱鞘炎にならない方がおかしいくらいでした.

今は,コンピュータのキー操作はあのころの百分の一にも満たないでしょう. ピアノは無いしギターもほとんど弾きません. それでも腱鞘炎になるのは,.... 「老化現象」もあるのでしょうか :(

しかし,たしかにコンピュータのキー操作は減ったのですが,その替り,マウスをひっきりなしに動かしています. タイピングは両手でしますが,マウスを操るのは右手だけです. 実は,右手をかなり酷使しているようです. マウスこそがこの故障の原因なのかも知れません.

右手の酷使が心配になって,マウス操作を左手にしてみることにしました. マウス操作は,字を書くよりは楽ですが,箸を使うのよりは大変です. 左に変えて1週間ほどになりますが,なかなかうまく使いこなせません.

ボタンの左右(主副)は設定で交換でき,左利きの場合はそうするとよい,と言われていますが,私にとってはそれは必要ないようです. ピアノのおかげで,右の人差し指・中指を,左の中指・人差し指に切り替えるのは難しくありませんでしたから.

それよりも,どうやらショートカット・キーの配置が右手でのマウス操作を前提に設定されているようで,これがどうにもなりません. キーボードの配置を左右反対にしてしまえば完全かも知れませんが,それでは同じキーボードを右利きの人が使えなくなって,一般性が失われます. せめて,ショートカットキーだけ左利き用のセットを用意する,というのはどうでしょうね. 左利き用マウスとか,左利き用キーボード(テンキーが左にある)とかあるようですが,そんなことよりこっちの方が(ヘビー・ユーザには)重要な気がしますが.

有難いことに,腱鞘炎(老化現象?)でも,尺八を吹くのには今のところはさほど支障ないようです. ケーナのように素早い指の動きをたくさんは要求されないからでしょうか. ただし,長管(G管)を支える右腕は少々辛く,1曲(10分くらい)吹くのが限界です. 左でのマウス操作で,この右手の痛みが解消されればいいんですが.


2008.12.22

大山詣

以前から一度は大山詣に行きたいと思っていましたところ,先日(12月20日),車で出かけたついでに,やっと実現することができました.

大山詣とは,伊勢原市の大山にある阿夫利神社に参拝することです. 江戸時代には随分と盛んだったようで,横浜の私の住む辺りにも大山道が通っていたようです.

現代では,車でケーブルカーの駅の近くまで行けて,下社まではケーブルカーで上れます. とは言っても,車を降りたら即ケーブルカー,という訳には行きません. 駐車場から駅まで,宿坊街の中の参道をしばらく歩きます. 宿坊の他,土産物屋,豆腐料理・しし鍋などの店が続きます.

下社まで,ケーブルカーで上りました. とりあえずここでお参りしましたが,本当はここからが大変です. 本社(奥社)は大山の頂上ですから,家内と一緒なので何時間かかるかわかりません. 諦めました.

お父さん鹿に甘える子鹿

下社に鹿が飼われていました. 子供とその両親のようです. それが,なんだかとても面白い光景でした. 子供は立派な角のあるお父さん鹿にくっついて甘えていて(写真),一方,お母さん鹿はちょっと離れたところで知らん顔で勝手に寝そべっていました. ほのぼのしているような,人間の母親の態度が鹿に移ったのか(^^;) なんだかなぁ...... せっかく尺八を持ってるので,ちょっとだけ「鹿の遠音」を吹いてみましたが,鹿のお父さんは,なんだか遠い目をしていました:p

奥社は諦めましたが,大山寺には行くことにしました. ケーブルカーで一駅戻ればいいのですが,きつい男坂の他に緩い女坂もあるとのことなので,その女坂を歩いてみることにしました. 大山寺までは,降りるのはたった15分,と書いてあります.

実際に歩きはじめて,後悔しました. 私はまあ大丈夫ですが,石段の一段々々が高すぎて,家内にはかなり大変なようでした. そもそも,ここは修験の場所なのでした.

真言宗大覚寺派雨降山大山寺は,なかなか霊験あらたかな雰囲気の,いいお寺です. 内陣まで拝観させていただけ,しかも国宝の御本尊・不動明王に間近かで参拝することができました. なかなかご本尊を直接に拝観できる機会というのは少なく,感動しました.

内陣で献笛をしていると,外陣(私の真後ろ)から般若心経が聞こえてきました. 般若心経を聴きながら尺八を吹いていると,わざわざ合わせているわけでもないのに,自然と息があって,いい感じに響いていました. 私の曲(普大寺・調子)の方がちょっと長かったので,吹き終わって振り返った時にはその方はもういなくなっていて,ご挨拶もできませんでしたが,とても気持のよい経験となりました.

あ~あ,こけちゃったよ

大山寺の庫裡には,白と黒の二頭の犬が飼われていました. どちらもかなりお人よし(お犬よし)な犬です. 白い方の犬を写真に撮ったその瞬間,水の器に躓いて,びっくりして飛び上がって,こけてしまいました. いやぁ,白犬君,驚かせてごめんね. (写真は,こけた白犬君を呆れて眺める黒犬君).

山を下りて,参道のお店で,大山豆腐料理を頂きました. 大山で大山豆腐料理を食べるのも夢でした. まずまずの満足でした.



2008.12.24

芸術祭賞

昨日は百錢会(善養寺惠介社中)の吹き納め・忘年会でした. 新宿の法身寺で坐禅の後,一人々々献笛して,その後は大忘年会.

私は,2尺7寸(G管)で,布袋軒三谷を吹かせてもらいました. 飛び入りの志村(禅保)さんがいなければ,一番長い尺八のはずだったのに.... 志村さん,3尺4寸の信じられないような長管で瀧落を吹かれました.

さてそれはさておき,忘年会にうつってから,気になっていた情報が発表されました. 気になっていたこととは,今年の芸術祭の結果です.

我が師匠,善養寺惠介は,芸術祭賞新人賞をいただきました. 初めて芸術祭に参加して,いきなり賞がいただけるとは,なかなかないことだと思います この歳で新人賞とは何事か,という酔っぱらいの意見もありましたが ^^;;),それは贅沢.次に大賞をいただけばいいじゃないですか. 因みに,では今年の大賞はと言うと,なんと,竹保流尺八宗家の酒井松道さんでした. 松道師には研究(尺八譜の情報処理)関係でお世話になっていて,受賞対象のコンサートも聞きに行きました. ついでに言うと,関西の尺八奏者,石川利光さんも優秀賞です. 洋楽も邦楽もジャズなども含めての音楽部門で,6しかない賞のうち実に半分を尺八が占めるというのは,かなり珍しいことではないでしょうか. 因みに,もう一つの新人賞も邦楽(筝)で,あと二つが洋楽(オーケストラ,合唱)でした.

もしかすると,邦楽,とくに尺八関係(しかも,本曲!)には,これから陽があたってくるのかも知れませんね.

なお,大阪の志村さん,私財を投げうって「尺八博物館」を作るんだそうです. 地無し尺八を普及し,後世に残すためなのだそうです. 恐れ入ります. 大阪駅から徒歩何分かの場所で,来年3月にオープンだそうです.


2008.12.25

芸術祭賞に異変?

今年の芸術祭では,やけに尺八での受賞が多いように思いますが,これまでもそんなに尺八吹きが受賞をしてきたのでしょうか. 気になりますので,過去10年の受賞記録を調べてみました. データの見つからない第60回を除き,第52回から62回の合計と,第63回(今年度)とを比較すると,下表のようになりました. ただし,大賞・優秀賞・新人賞の区別はしていません.

第52~62回
の合計
第63回
(今年)
尺八での受賞3%50%
尺八以外の邦楽での受賞35%17%
西洋クラシックでの受賞55%33%
その他の音楽での受賞7%0%

やはり,今回の尺八関係で3人もの受賞というのは,前代未聞のできごとと言って構わないようです. 尺八界がこれからどうなるのか,楽しみです.


2008.12.26

霧海篪の演奏記録

11月23日に紀尾井ホールで行った霧海篪の演奏を記録したDVDと写真が手に入りました. あらためて聞いてみると,ところどころ音の合っていない所は(多々)ありますが,まあ,雰囲気としては結構うまく行っているようでした. 少しホッとしました.

霧海篪@紀尾井ホール

ところで,演奏前に,私の書いた曲目解説を長々と朗読しているのですが,その中で,
虚竹禅師が .... 霧の海から笛の妙音が聞こえて来るという霊夢を見ました.
のところを
虚竹禅師が .... 霧の海から笛の妙音が聞こえて来るという悪夢を見ました.
と読んでいます. えらい違いです(^^;) そんなに怖い曲ではありません.


2008.12.29

更新情報

着物ちょっと話に,記事を一つ加えました.

今年はあと二日

ところで,その追加した記事は,2009年1月としてあります. そう,今年は今日を除くとあと二日しかありません.

今年は私にとっていろいろなことがあった年でした. まず生活では,転勤して,仕事の勝手がまるで変わってしまいました. 転勤先が市内であること(私は就職して以来,寮以外では,県境を越えた通勤ししかしたことがありませんでした),家内が退職したことなどで,日常生活がまるで変わってしまいました. おまけに,孫まで産まれました. 尺八の方では,吹合せ会が少し本格的に動き出したことと編曲・演奏に苦心したことで,そこそこ忙しく動いた気がします. また,日本百観音が結願したのも,私としてはちょっとした節目となりました. 何れにせよ,多くの方々のお世話になったと,感謝いたします. また,ご迷惑をおかけしたことも多々ありました. お詫び申し上げたい気持ちです.

私のことはさておき,世に目を向ければ,どうも大変な年になってしまったようです. 来年がなんとか良い年となることを,祈らずにはおられません.

今年中のスケジュールに,31日の「大晦日百八曲修行会」が残っています. 東京新宿の法身寺の本堂で,朝から夜まで,本曲を百八曲になるまで吹き続けます(交代で吹きますから,一人は数曲程度ですけど). 感謝と祈りを込めて,今年も何曲か吹かせていただこうと思っています.


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