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お知らせとたわごと

アーカイブ(2009.01~2009.04)


2009.01.01

謹賀新年

  今年がよい一年でありますように
                                平成廿一年己丑元旦
騎牛帰家
2009.01.09

年賀状

やっと年賀状も収束したようです. 私の書くのも遅かったのですが,受け取るのも昨日まであり,そのうち1枚か2枚はこちらから出してなかった方でしたので,その都度,返事を書いていました. いつまでもコンビニに年賀状が残っていて,助かりました.

今年は丑 ― 牛年. 牛にまつわる下手な絵を描いてみました. 上の絵です. 禅で言う「十牛図」のうちの6枚目,「騎牛帰家(きぎゅうきか)」を,本来は牛の背で吹くのは横笛ですが,それを尺八に変えた絵を描いてみました.

私にはとても「十牛図」の講釈はできません(ありきたりな説明なら,ネットを検索すればいろいろな人がいろいろに説明しています). それに,私が「騎牛帰家」の段階にあるなどとはとても言えません. でも,確かに少しだけ,なんだかそんな気持ちがしないわけでもありません. ただの気の迷いでしょうか ^^;)

尺八の割れる季節

先日,知人の尺八が見事に割れたそうです. その数日後,私の尺八も,見事ではありませんが,割れました(内側までは割れていませんが).

今は一年中で最も割れやすい季節ですから,くれぐれも気をつけましょう. 毎日,尺八の様子を見つつ,ちょっとでも息を通してあげましょう. もし小さなヒビでも見つけたら,すぐに次のような応急処置をして下さい.

湿らせたタオルでくるみます. 私はさらに,その状態でビニール袋に入れます. それで一晩おけば,小さなヒビならもとに戻ってしまいます. 修理に出すにしても,とりあえずこの応急処置が大事です. こうすれば,それ以上には割れは進みません.

以前(昨年11月22日)に書いたように,小さい割れだったらこの応急処置後,テグスを巻いておけば,まあなんとかなります. 今回の割れも,とりあえずテグスを巻いて凌ぐつもりです. しかし,管の内側まで達しているような割れだったら,製管師に修理を依頼すべきでしょう. ちゃんと修理してもらえます.


2009.01.12

映画 禅

昨日,「禅」という映画を観てきました. 「禅」というよりは,道元禅師の生涯を描いたものです. 私は,なかなかよくできた映画だと思います. 客もそこそこ入っていたように感じました.

本曲の楽譜

今日は一日,楽譜書きで過ぎてしまいました. 古典本曲の楽譜ですから,DTMソフトは使えません.

今日作っていたのは「阿字観」です. 元は神如道譜ですが,それを善養寺惠介師が書き直した譜面を参考に,ワープロを使って書いてみました. 文字だけなら大したことはないのですが,ユリやナヤシなどの図形を使うのが,もう,面倒で面倒で,いいかげん厭になってしまいました(^^;)

しかし,自分で苦労して楽譜を書いてみると,改めていろいろなことを発見できます. これまでなんとなくバラバラに吹いていたところに関連性が見えたり,ダラダラ吹いていた所に区切りと纏まりがあったり. とくに,構造がよくわかります.

昔の日本語の文章ではあまりしていなかったようですが,現代では,段落(パラグラフ)に分けて文章を書くのが当たり前です. 論文などの世界では,段落が無いような文章では読んでもらえないし,読んでもわかりません. 楽譜も同じです. 本曲の楽譜だって,文章と同じように段落をきれいに区切って表せば,構造がはっきり見えてきます.

作文をし,殊にそれを推敲するのにワープロが便利なように,本曲の楽譜書きにもワープロは確かに有効です. 本曲譜を書く場合で言えば,内容というより,構造をうまく表せるような配置を探すことです.

ただ ..... 図形の扱いが,なんとか楽にできるといいんですが. いずれにしても,最後の仕上げは,画像用のソフトで調整します.


2009.01.16

割れる尺八

私は竹の尺八を6本使っています(たった6本,とも言いますが ^^;). 1尺8寸管が2本,2尺,2尺1寸,2尺5寸,2尺7寸の管が各々1本;ン万円のが3本,ン十万円のが3本;地塗り管(内部を砥粉や石膏を漆で固めて成形してある尺八)が4本,地無し延べ管(竹の節を抜いただけの尺八)が2本;よく使うのが4本,滅多に使わないのが2本です. このうち,2本が完全に割れて修理をし,2本にひびが入って,2本は無傷です.

どんな尺八が割れるのか,いろいろ層別してみました. 完全に割れた(内部まで割れが届いている)ものを 1 点,ヒビが入った(内部までは割れが届いていない)ものを 0.5 点として合計し,本数で割った値を「割れ率」として示します.

  1. まず,値段で見てみます.
    本数割れ合計割れ率
    ン万円31.50.5
    ン十万円31.50.5
    どうやら,値段は割れには関係ないようです.


  2. 次に使う度合で見てみます.
    本数割れ合計割れ率
    よく使う420.5
    滅多に使わない210.5
    使う度合も,関係無いようです. なお,使わないときの保管方法は,よく使う管も使わない管も,ほとんど同じ状態で保管しています.


  3. 尺八の構造,つまり地塗り管と地無し管に別けてみます.
    本数割れ合計割れ率
    地塗り管42.50.625
    地無し延べ管20.50.25
    どうやら,地塗り管の方が地無し管より 2.5 倍も割れやすいようです. そう言えば,ケーナももちろん地無し管ですが,ケーナが割れたという経験はほとんどありませんでした. 漆で固めた砥粉や石膏の地と本来の竹とでは性質がまったく異なりますから,このことが割れやすくしているのではないでしょうか.


  4. ついでに,どういう使い方をしているのかで別けてみました. 仏前での献奏(いわゆる献奏会や,札所などで本曲を吹く)に使うのか,本曲以外の音楽やステージでの演奏に使うことが多いのか,です.
    本数割れ合計割れ率
    仏前の献奏によく使う30.50.17
    仏前の献奏にあまり使わない32.50.83
    仏様への献奏に使うと割れなくなるように見えますが,まあこれは単なる偶然でしょう.


少しぐらいは何かのご参考になるでしょうか(^^;)


2009.01.25

更新情報

着物ちょっと話に,記事を一つ加えました.


2009.02.09

ロス・パコス

ここしばらく,尺八をまったく吹いていません. 練習中の皆さんには「とにかく毎日音出しだけでも,欠かさずにやってください」とか偉そうなことを言いながら,私自身はもう2週間近くも音すら出していません.

家事もちょっとドタバタすることがあったのですが,それはさておき .....

じゃあ,何をしていたのかと言うと,尺八古典本曲をちょっと忘れて,南米アンデスのフォルクローレな日々を過ごしていました. と言っても,ケーナやサンポーニャを吹くわけでも,ギターを弾くわけでもなく,実は,昔(30~15年前)のカセットテープをパソコンに取り込んで,CD化を試みていたのでした.

尺八を始めて,12年ほどが過ぎました. 12年前,尺八を習い始めるにあたり,尺八と似ていて,しかしまるで違うケーナを,封印したのでした. しかし,昨年,尺八関係の席で突然ケーナを吹かされるハプニングがあったり,秋には十何年かぶりに人前でフォルクローレの演奏をしたりして,なんだか,尺八とケーナが私の中で同居できるような気になってきました. そしたら,昔が随分と懐かしくなり,昔のフォルクローレ・コンフント「ロス・パコス」の仲間を呼び出して,「同窓会」をすることにしたのです.

作成中のCDは,その昔の「ロス・パコス」のライブ録音を集めて一枚にまとめ,「同窓会」当日に皆にプレゼントすることを企んでいます.

ところが,これが結構大変な作業になりました. 長いことほっぽってあったカセットテープは,ずいぶんと酷い状態です. もともと会場の片隅で小さなカセットテレコで録音したものがほとんどで,誰かが録音したもののダビングのダビングだったり,手拍子や会場のざわめきで演奏が全然聞こえないものや,録音レベルが無茶苦茶で完全にサチッていたり ....   カビが生えたらしいテープもありました. なかなか聞くに堪える部分はありません.

会場備え付けの立派な機械で録音してくれたものもあります. ところがこれがまた,驚きです. 再生すると,およそ 120セントも低いのです. しかも,当時は 440Hz より 20 セント近く高い楽器を使っていました. つまり,計算してみると,録音に使った録音機の回転速度がおよそ 8.4% も速かった,ということです. テンポも当然,遅くなり,M.M.=120 の演奏が M.M.=110 で再生されるわけですから,かなり間抜けな演奏になります. 回転速度が速ければ,その分,よい音質で録音できるはずですが,同じ速度で再生しなきゃ,お話にはなりません. いつか速度を変えられるデッキがあったら,復元しておこうと思いつつ,そういう機会はなく,30年間ほとんど聞かずにいたのでした.

ところが,時代ですね. これもとりあえずディジタルデータにしてみました. そしたら,ピッチとテンポを自由に変更できるソフトがあるじゃありませんか. おかげで,30年ぶりに,あの日の演奏を聴くことができました. (あの日とは..... ボリビアのチャランゴの名手,エルネスト・カブールが来日した折,そのカブールの一行を招待して,彼らの前で演奏した,思えばとんでもない快挙(暴挙)だったのでした).

えらく音の悪いCDが出来上がりましたが,自分の演奏だと,ひどい音も気になりません. とりあえず,車の中で5回ほども通して聞いて,一人悦に入っているところです. 自分で言うのもなんですが(^^;) 30年前の私って,ケーナも結構吹けて,声も(ボーカルも担当でした)そこそこ出ていたみたいです. なんだか,あれからあんまり進歩していない,っていうか,退歩しているとしか思えません.


2009.02.09

アーカイブ

昨年9月から12月の分は,アーカイブに回しました.


2009.02.11

妙心寺展

上野の国立博物館で行われている妙心寺展に行ってきました. 会場の「平成館」は,行ってみて気付きましたが,何年か前に「建長寺展」の行われた場所です. 1月20日から3月1日までが会期ですが,会期は前期・後期に分かれていて,昨日からが後期で,展示内容の一部が前期とは変わっていました. そんなことはちっとも知らず,たまたま今日行ったのですが,おかげで,前期にはなくて後期だけの展示の中に,見たかった「瓢鮎図」(国宝)があり,ラッキーでした.

「鯰鮎図(ひょうねんず)」は,「瓢箪(ひょうたん)で鯰(なまず)を捕まえられるか?」という,禅の公案を表すものです. 面白い絵です. いろいろ考えてしまいます ..... ここに描かれたような大きな鯰は無理だけど,鯰の稚魚だったら瓢箪に餌でも入れておけば捕えられるんじゃないか,なんてのはお話になりませんね(^^;) しばらく見ていたら,瓢箪が鯰に見えてきました. しかし,それはそうと,「鮎」というのは「アユ」であって「ナマズ」ではありませんよね. なんで「瓢鮎図」なのでしょう.

ところで,こういう「○×寺展」というのに行くと,たいてい,たくさんの仏像が展示されています. そうすると,なんだかとても居心地が悪くなってしまいます. 仏像はそもそも信仰の対象なのですから,美術品や歴史資料としてジロジロと眺めまわすのには,どうしても抵抗があります. かといって,美術館に展示された仏像に礼拝するのも変だし .... ところがこの「妙心寺展」では,仏像の展示はなく,墨跡や絵画が中心で,美術品や資料として,ゆっくり安心してみることができました.


2009.02.20

音楽情報科学研究会

昨日は,休暇をとって(!!),情報処理学会の研究会「音楽情報科学研究会」に参加してきました

久しぶりの,たぶん1年かそれ以上ぶりの参加です. 懐かしい顔にも大勢会いましたが,知らない人が圧倒的多数です. しかも,若い人たちがほとんどです. たいへんな盛況ぶりにもびっくりしました.

研究会は盛況でも,私がピンとくる発表はほとんどありません. 扱う音楽も,その扱い方も,そして扱う目的も,残念ながら私にはさっぱり興味が涌きません. たまに私にも分かる話があっても,なんだか首を傾げたくなるような内容だったりします. いつのまにか「音楽情報処理」が,商売になる技術上の研究になってしまったようです.

思えば,私が「(任意団体)音楽情報科学研究会」を立ち上げたのは,コンピュータ分野の研究者・技術者が音楽なんか扱えば,白い目でしか見られなかった時代です. たとえば,ディジタル録音した音響データのピッチとテンポを独立に変更するだなんて,技術的にほとんど無理だし,ましてやそれを個人で行うなんて,考えられもしないことでした. それが今では,そんなことをちょちょいっとやってしまうフリーソフトが転がっています. たった20何年かの間に,音楽に関する情報技術は,とんでもなく進歩したようです. だったら,さぞかし音楽学は進歩し,素晴らしい音楽がたくさん産み出されたことでしょう .... ところが,実際にはそんなに音楽学が進歩したとは聞いていませんし,感動する新しい音楽にも出会っていません. いまだに,200年も300年も前のベートーヴェンだのモーツァルトだのバッハだのを聞いて感動し,それよりももっと古いかもしれない尺八古典本曲を吹いたりしています.

今回の研究会では,主査(2年任期)の交代もありました. 今回退任する主査がこの研究会に入会した時,彼はまだ学生でした. それが,この分野の研究で博士号を取り,立派な研究者となり,研究会の主査を努め,研究会と研究分野の発展に大いに尽くしてくれました. これは,たいそう有難いことで,嬉しく思います.

しかし,その後任の新たに就任する主査は ...... 私の知らない人でした. 私の知らない人が主催になるのは,実に,初めてです. 内容も,そしてついに人に関してまで,ついに私は浦島太郎になってしまったかも知れません(いえ,なりました). なんだか,微妙な気分です. 今回の会場が「船の科学館」のすぐ近くだったというのも,何かの因縁だったかも知れません.

法身寺坐禅会

さて,研究会の後は,毎月第三木曜日に行われる法身寺坐禅会です. 例によって玄関で「呼び竹」を吹くと,和尚様は「受け竹」を吹きに本堂の方から慌てて走って来られました. どうやら本堂で,初めて参加なさる方に,坐り方などを教えていたようです.

初めて来られたのは,お二人の女性でした. ネットで見つけて来られたそうですが,これまでそのようにして来られた方が定着した試しはありません. 坐禅の後でお経を読むところまでは普通のことですが,その後,いきなり皆で尺八を吹くのには,たいていの方は仰天します. しかもその後の茶礼が,実は尺八談義,というあたりで,ほとんどの人は呆れて,二度と来ません. でも今回は,なぜか尺八談義にならず,妙心寺展の話だの,どこそこの坐禅会が云々だの,まあ,まともな話題に終始しました. さてこのお二人,次回も来られますかどうか.

ところで私はと言えば,今回はさっぱり坐禅になりませんでした. あることが気になってしまったのでした. というのは,大乗仏教では「空」ということを言うし,そもそも三法印には「諸行無常 諸法無我」などということを言います. こういう考え方から,どうして「慈悲」ということが出てくるのでしょうか. 頭で考えれば,そのうち何かこじつけみたいな答えが出て来そうに思えますが,果たして腑に落ちるような答えが得られるのかどうか ..... 昨夜はとにかく,どうにもこのことが納得できませんでした.


2009.02.25

フォルクローレ~禅

何やら妙な見出しです. まるで関係なさそうな,フォルクローレと禅 ..... ところが!

先週の土曜日,昔やっていたフォルクローレ・コンフント「ロス・パコス」の,同窓会のようなことをしました. 四半世紀ぶりの再会です. カラオケ仕様の居酒屋の個室を借り切って,延長延長で,カラオケにギター,ケーナ,尺八と,私はとうとう最後は記憶を無くしてしまいました (かつての仲間によれば,それは私のいつものパターンだった,とのこと).

その同窓会用に,昔のテープをCDに落としたことを,先(今月9日)に書きました. その中に,池真理子さんのチャリティーコンサートでの演奏もありました. 池真理子さんは,9年前(2000年)に83歳で亡くなった歌手で,ジャズ,ラテン,そしてフォルクローレなどで活躍した人です. 紅白歌合戦にも何度か出演しています. 我々はこの人のバックを一度だけ担当したのです(思えば,なかなか恐れ多いことでした).

私はその後,フォルクローレから尺八に転向したのですが,ちょうど虚無僧研究会に入ったころ,池さんの名前に出会う機会がありました. 「虚無僧」とかいう曲(歌謡曲?)がプログラムにあるコンサートを,虚無僧研究会の紹介で知り,その出演者に池さんを見つけて,びっくりしたのでした. 意外なところで縁があるもんだなぁ,と,その時は懐かしく思ったのでした. ところが ....

ところが,今回,上述の昔の録音の整理のついでに,池さんの経歴が眼にとまりました. 池さんは一度,結婚され,お子さんもできたようです. そのお相手が鈴木勝という方なんだそうですが,そ ... それが,な,なんと! 鈴木大拙の長男なのだそうです. 鈴木勝という人は残念ながら知りませんでしたが,「東京ブギウギ」の作詞者と聞けば,ああそうか,とわかります. しかし,鈴木大拙は,仏教,少なくとも禅の世界で知らない人は,まずいないでしょう. いま私の眼の前にも,鈴木大拙 禅選集1「禅の思想」という本があります.

こんなところでフォルクローレから禅につながっていたとは,なんという奇妙な縁なのかと,驚いているところです.


2009.02.28

椿油

今日で2月も終わりです. 尺八の一番よく割れる季節も,そろそろ終わりに近づいています. しかし,もちろん油断は大敵. 夏だって割れるかも知れません.

この頁の上の方(去年の分にも)に,何度か尺八の割れのことを書きました. もう一つ,最近私がしていることを書いておきます.

尺八に,椿油を塗ることにしました. 割れた尺八に濡れタオルを巻いておくと,割れが戻ることを上に書きましたが,要するに,尺八が,特に尺八の外側の表面が水分を含んでいれば,割れないわけです. 水分は乾きやすいですが,油なら乾きにくい. だから,水分の代わりに油をしみこませるわけです. 一日一回,ほんのちょっとでも尺八に息を通し,そのついでに,薄く椿油を表面に塗ります.

私は,伊豆大島に行った時のお土産に買った椿油があったのでこれを使っているのですが,ネットで見ると,オリーブオイルとか胡桃油とか,サラダオイルを塗るという人もいるようですね. まあ,油なら何でも効果はあるんだろうと思います.

それと,油を塗っていると,尺八の色(風合い)もよくなってきそうです. 音には関係ありませんけどね. でも,飴色になった尺八を持つだけで,なんだかうまくなったような気がする,かも知れません.


2009.03.11

インプラント

ある尺八関係の掲示板で,インプラントの話題があったので,ちょっと書きこませてもらいました. せっかくなので,訂正加筆して,転載しておきます. なお,2007.06.27 と 2008.02.01 の項にも,インプラント関係のことがあります.


私は子供のころから(正しくは親の代から^^;) 歯が悪く,ちょうど二十歳のころ,歯医者に「30代で総入れ歯になるよ」と脅されました. 歯槽膿漏と虫歯の両方です. そこらじゅう詰め物・被せ物だらけ,リンゴを噛めば血が出る,時々歯茎から膿も出る,という悲惨な状態でした.

20代の半ば過ぎ,奥歯を一本抜いて,部分入歯(ブリッジ)になりました. この頃からさすがに怖くなって,歯磨きをしっかりするようになりましたが,もう手遅れでした.

40代になったころから歯根治療を続けてきました. 延々と毎週のように歯医者に通い,その治療も結構辛いものでした. 歯肉を開いて,顎の骨と歯根の間をゴリゴリやるわけですから ....

40代半ばを過ぎたころ,挿し歯だった前歯の一本が,いよいよ歯根から駄目になって,抜かざるを得なくなりました. その後を入れ歯にするかインプラントにするかが悩みとなりました. 入れ歯なら保険でできますが,インプラントは30万円ほどかかります. インプラントにしたって,永久に持つわけではありません. しかし歯医者が言うのには,インプラントが出来るのは,現在の技術では今の状態が限界,数年前だったらもうできない状態,とのこと. これ以上先延ばしすれば顎の骨が駄目になって,インプラントはできなくなるとのこと. インプラントの技術はどんどん上がっていますから,待てば待つほどいい処置ができる ... かも知れないけれど,こっちの状態の悪化が技術の進歩を上回ったら,アウトです. それで,えいやっ! とやってみたわけです.

結果は,実に快適でした.

その後,20代に抜けた奥歯の両側がまとめて歯根から駄目になりました. ブリッジをしていた影響もあります. もうこうなったら,ブリッジはできません. それで,いっそここも,ということでインプラントにしてしまいました. 最後に,反対側の一部も,インプラントにしました. どの歯も,顎の骨の状態はぎりぎりに近いところでした. 最後にやったところは,最初にやったインプラント技術の段階では,出来なかったかも知れないくらいだったようです.

インプラントをするには,ずいぶんとお金も時間もかかりました. 一本あたり,およそ30万円です. 一か所の処置に,なんだかんだと1年近くはかかっています.

でも,結果はすごく快適です.

ただ,面倒なのは,処置後のメンテナンスです. 数か月に一度はメンテナンスに通っています. ただ,最初の30万円の中に10年間の保証が含まれていますから,メンテナンスは基本的には無料です.

インプラントは,外れてしまうこともあります. 正確に言えば,外れるのはインプラント(インプラントは顎の骨に埋め込んだ人工歯根のことです)ではなく,その上に取り付けた,いわゆる歯の部分です. 私は,最初に入れたインプラントが,処置後6年で,一度外れました. もちろんそれは,簡単に(無料で)直してもらえます.

なお,自分でも歯の手入れをしっかりしないと駄目です. インプラントでも歯槽膿漏にはなります. 毎回のメンテナンスに行っても,言われる事は,ブラッシングの良し悪しがほとんどです.

メンテナンスがいくら面倒だとは言っても,かつて毎週のように歯根治療に通って痛い思いをしていたのに比べたら,嘘のような快適さです.

さて,尺八(フルートでもケーナでも)の奏者の場合,前歯だったら,私としてはインプラントをお勧めします. もちろん,インプラントができる状態(顎の骨の)だったら,ですが.

保険で治療するには,ブリッジの部分入歯という方法もありますが,前歯の場合,ちょっと辛いのではないかと思います. アンブシュアは,慣れてしまえばそれはそれでちゃんと作れるんだろうと思いますが,舌先の触れるあたりにブリッジの環っかがあったりすると,気になって困りそうです. それと,微妙な力の加減,振動などへの感覚が,直接顎の骨に繋がっているかどうかで,鈍くなってしまうのではないかと思います.

でも奥歯は,インプラントでも入れ歯でも,いっそ抜けたままでも,演奏にさほど影響はないように思います. 私はうっかり(奥歯のインプラント治療中に)左右両方の奥歯の入歯を忘れたまま本番に臨んじゃったこともありますが,支障はありませんでした.

なお,インプラントも永久にもつわけではありません. 私がやった時は「10年はもつだろうが,その先はそもそも実例もないし,分からない」と言われました. まあ,そりゃそうです. 10年してインプラントが駄目になったら,その時こそ入歯かな,と思っていますが,その先,そもそもどれほど尺八が吹けるのかな,という疑問もります(^^;) でも,ふと思えば,最初のインプラントから,あと数年で10年,げげっ! という感じですが,今のところ全然問題はないようです. あと10年は持つ .... かな?

インプラント治療をお考えの方に,一つアドバイス. インプラントにはいくつもメーカーがあり,別の製品を使っているところではメンテナンスできません. もちろん,保証は処置したところでなければ無効です. せっかく十年の保証があるわけなので,十年後まで確実に通院できる歯医者を選ぶのが重要です. 私は,2時間半かけて通勤していた勤務先の向かいにあった歯医者にかかっていたのですが,1年前に転勤してから,少々困っています. たまたま,系列の歯医者が虚無僧研究会本部の新宿・法身寺の近くにあることがわかったので,法身寺に行くのにあわせて歯医者に通っています.


2009.03.12

ゴスペル風「般若心経」つのだ☆ひろ

偶然,とてつもなく面白いコンテンツを見つけました. 脳天をドツかれたような,とんでもない面白さです. ベートーベン作曲,玄奘三蔵作詞,つのだひろ編曲の「般若心経」 です. 第九の歓喜の歌をゴスペル風にアレンジしてあり,でも,どことなくインド風でもあり,なんだかものすごいです. 因みに企画制作は,京都の高台寺岡林院(臨済宗)のご住職です.

あんまり聞き過ぎると,般若心経を読むとき,調子が狂っちゃいそうです(^^;)


2009.03.15

アルテリーベで虚無僧

昨夜,新橋にあるアルテリーベという音楽レストランで,尺八を吹いて来ました. 昔の勤務先に関係のあるパーティーなのですが,フルート吹きが多くて,プロあるいはほとんどプロ級の人たちも集まって来て,お店のプロの演奏(オペラの歌が中心)の前に,半分は自分たちで演奏をする,という会でした(お店は貸し切り). 毎年おこなっているらしいこのパーティーに,ご指名がかかって,初めて参加しました.

何曲かのフルートの後,ショパンの「別れの曲」のピアノがあり,その次,身内の部のトリが私の出番でした. やりにくいことこの上無し(^^;) 「別れの曲」の次がお経ではしゃれになりませんね,とか,ジョークを言ってから吹こうかとも思ったのですが,それはやめて,場の雰囲気にまるでそぐわないことを覚悟の上で,無言で正式な所作通り,「布袋軒三谷」を少しダイジェスト版にして,2尺5寸管で吹きました. 乾杯だけとは言え,ちょっとビールを飲んでいたこともあって,少しイマイチな演奏にはなってしまいましたが,おそらくすべての方(50名弱でしょうか)にとって初めて耳にする音楽(音楽と思ったかどうかは謎ですが)で,そこそこ興味を持っていただけたようでした.

しかしそれにしても,「音楽」という一つの言葉で表すものが,これだけ違うんだ,ということを,再認識した時間となりました. フルートと尺八の違いは,楽器の違いで,楽器が違えば演奏のニュアンスのようなものも変わってきます. フルート吹きの方々から,いろいろ尺八や尺八の奏法などについて尋ねられました.

でも,そんな違いはどうでもいい. それより,歌で何を歌っているのか,ということです. 私にはオペラ,オペレッタ(はなおさら)の歌詞を受け入れられないのです. 旋律だけならどうということはなく,楽しいのですが,どうも,なんというか,下半身だけの歌みたいな感じがして ..... そういう歌詞を,昔の歌声喫茶のようなノリで,みんなで合唱しましょうと言われても,私には居心地が悪くなるだけでした. 昨夜の歌の一つにショパンの「ピアノ協奏曲第一番」に都はるみの「北の宿」を絡ませたのがあったのですが,その歌詞がなんともすっきり受け入れられたのでした(私はかつて,演歌は大嫌い,と思っていたのでしたが). 最後に瀧廉太郎の「花」をみんなで歌いましょうということでしたが,これなら私も精いっぱい歌うことができました.


2009.03.16

プロ・スポーツ選手の心臓は

今朝起きて,身繕いなどしながらふとテレビを点けら,野球のWBCの生中継をしていました. そういえば今日は,キューバ戦. キューバは大変な強敵で,苦戦が予想されていましたが,みると3対0で勝ってるじゃないですか. そのまま,朝食を食べながら見ていたら,また1点入って4対0. 通勤途上もラジオを聴きながら,6対0で9回表が終わるところで職場に着きました. 結局9回裏も無失点で,快勝でしたね.

私は,プロ野球にはあまり興味がないし,高校野球にはぜんぜん興味がないし,学生時代の私にとっては野球(ソフトボール)が最大の難問でした(たいてい授業をさぼったりしてました). でもWBCだけは見ています.

WBCを見ていて思うことは,なんであの選手たち,とくに投手と打者は,あのとんでもない大声援やブーイングの中でプレーができるんだろう,ということです. 私は,自分が見られている,注目されている,と思うだけで上がってしまって,できるはずのことができなくなってしまいます. 先日のパーティーでちょっと尺八を吹いただけの時も,実はかなり上がってしまって,音が震えたり,しっかり響きかせきれなかったり,メリ音がメリきれなかったりしました. こんなところで上がっちゃダメ,上がっちゃダメ,と思えば思うほど,ひどくなったのでした. それなのにWBCの選手たち,あの,まるで天変地異でも起きたような大音響の中で,そして自分の目の前の人どころか電波の向こうのものすごくたくさんの人から注目れている中で,上がるどころかむしろ集中力を高めることができる ... まるで神業のように思えます.

どうしたらあんな風にできるんでしょう. ほんのちょっとした心の持ち様だということはわかっています. 実際,私も,フォルクローレをやっていた時は,緊張はしても,演奏中に上がっているということはほとんどありませんでした. フォルクローレでは,ほとんど奇声のような掛け声をしばしば出します. これが上がらずに済んでいた原因だったかも知れません. しかし,本曲は,フォルクローレとはまったく違いますから,この経験は何の足しにもなりません.

本曲を吹く時に上がらずに,しかし緊張を保ったまま吹く秘訣 .... 何かないものでしょうか.


2009.03.21

音楽音響研究会

このごろの私は,「何年ぶり」とか「十何年ぶり」とか「何十年ぶり」というようなことが多くなっています. 歳をとった証拠でしょうね. 昨日は,十何年かぶりで,日本音響学会の音楽音響研究会に参加してみました. 会場が近かったし,休日だし,テーマにも面白そうなものがありましたので.

興味のあったテーマの一つは九大の吉川先生の「尺八の指孔システムにおける音律異常について」でした. 吉川先生は,ご自分でも尺八を吹かれる方です. 音律異常とは,刺激的なネーミングですが,要するに,「三のウ」ではチよりも下の指孔(1・2孔)を塞ぐのにピッチが下がらないで上がる現象とのことでした. 「アドミッタンスが云々」という数値計算でこの現象を説明されていましたが,もうちょっと何とかして,大甲音の検討をしていただけたら面白かったのになぁ,というのが私の感想です.

物理モデル音源に関するコルグとヤマハの招待講演があり,これにも少し興味がありました. 先日紹介の尺八関係の掲示板でも物理モデル音源の話題が盛んでしたので,チャンスがあればそんな話もしてみようと思っていたのでした. 実際は少しそれとは方向性の違う話題で,尺八の音が云々とかコントローラーが云々とかは話題にできませんでした. この件については,会場で出会った旧知の他社の方にお話しておきましたが.

最近の物理モデル音源の開発の方向性は,いかに生楽器のような音を作るかではなく,そこからどれだけ離れられるか,だとか. それから,楽器音のリアルさよりも,昔の録音技術などの制約(ノイズだの歪みだの)の再現が流行りで,楽器の開発より昔のアナログ時代の性能がイマイチな音響機器の再現の方に力を入れているんだとか. へんな話しだと思いますが,でも分かる気もします .... (^^;)

他に,琵琶のサワリの話し(2件ありました)も面白かったです. それと,パイプオルガンの発音の関する実験の報告は,尺八の参考にもなりそうです. クラリネットの演奏における声道の状態の音色への影響の研究も,尺八にも参考になるかも知れません. いずれも,今後の進展を期待したいところです.

会場では,(この頃私は,しばしばこんなことを言っていますが)懐かしい方々のお顔を拝見しました. かつてこの研究会(MA研)を中心になって立ち上げた大御所の先生方の招待講演が3件ありましたが,いずれも既に大学の肩書ではなくなっていました. 知ってはいたことですが,何か,時の流れを改めて感じました.

ところで,Y先生という方の講演もありました. いまだに,○味系とか■パタンとかの発表をなさっています. 私もかつて学会の全国大会で,Y先生の発表を含むセッションの座長をしたことがありますが,さっぱり何をおっしゃっているのかわかりませんでした. 今回の座長には頭が下がります. 質疑に入る前に,Y先生の不可思議な用語の意味を解説(翻訳)しておられました. なお,Y先生も大学の肩書はなくなっていました. そこまでして○味系とか■パタンとかに情熱を傾けられるY先生の直向きさには,頭が下がる思いもします.

最後に,渡邊順生氏の,初期のピアノ(フォルテピアノ)の誕生に関する招待講演と演奏がありました. 1795年製の楽器を会場まで持って来られ,それでスカルラッティ,バッハ,モーツァルト,ベートーヴェンなどを聞かせて下さいました.

初期のフォルテピアノは,現代のピアノとはかなり違います. 尺八で言えば現代の地管と昔の地無し延べ管のようなものでしょうか(私の耳には尺八の違いより,ピアノの違いの方がずっとよくわかりました). どちらがいいとかいう問題ではないような気がします. ピアノも尺八も,音楽からの要請で歴史と共に変わってきました. でもその時々の音楽は,その時の楽器の性能を前提に生まれたものですから,その時の楽器で演奏してこそ,本物になるんだと思います. 一方,現代の音楽を昔の楽器で演奏するのは,ナンセンス,というより,無理かも知れません. でも,昔の音楽(本曲やスカルラッティ)を,現代の楽器で演奏するのも,ナンセンスと言えばナンセンスですが,まったく無理だ,ということもないのではないでしょうか. 実際,スカルラッティもバッハも,現代のピアノで演奏するほうが一般的です. 尺八の「地無し論争」が,まるで宗教的対立のような様相を呈するのが,私にはどうも付き合い切れないところです.


2009.03.28

更新情報

着物ちょっと話に,記事を一つ加えました.


2009.03.31

やっと and/or もう

今日は休暇を取って,一日パソコンに向かいました. そして,今まで気になって気になって,かなりのストレスにもなっていた,「虚空」の編曲にやっと取りかかりました. 今までどうしてもこの作業に入れなかったのですが,その分けはわかりません. なんだか軽い鬱病にでも罹ってしまったような感じもしました. とにかく,作業を始めることができないでいたのでした.

でもまあ,とりあえず五線譜に落とし,ラフなコード付けをし,使う尺八もだいたい決めて,一部分は音符にしてみるところまで,なんとか辿り着きました. 具体的なアイディアはそうそう湧いては来ませんが,あとは試行錯誤でやるしかありません.

やっと「虚空」の編曲は始めましたが,今日で今年度は終わり. 明日からはもう,新年度. 新しい職場でのちょうど一年が過ぎるところです. 編曲の作業は,去年の「霧海ぢ」より,かなり遅れている感じ. 本業も,二年目は一年目のような分けには行きそうになく,だいぶ忙しくなりそうです. 果たしてこれで,本番に間に合うでしょうか ...

一応,今回の「虚空」は,こんな組み合わせで行こうかと思っています.

 Ⅰ ソロ1尺8寸管(D管)
 Ⅱ 1尺6寸管(E管)
 Ⅲ 1尺8寸管(D管)
 Ⅳ 2尺管(C管)
 Ⅴ 2尺4寸管(A管)
 Ⅵ 2尺7寸管(G管)
ただし,「虚空」は5部構成(5楽章)で,部分によって調性や雰囲気が少し違うので,尺八の組み合わせもそれに応じて変えるかも知れません.


2009.04.07

夜桜

ドタバタしながら,新年度が始まってしまいました. しばらく慌ただしい時が続きそうです. そして,ちょうど桜はまっ盛り.

今日は仕事の後で,戸塚の柏尾川の畔の花見に行ってみました. 尺八は2尺5寸のA♭管を持っていきました. でも,これは失敗だったかも知れません. もっと普通の長さのものにすればよかった....

まず,戸塚駅の出口で,ギター伴奏でソプラノ・リコーダを吹きまくっている人がいました. でも,A♭管では割り込めません. 河原では,バンジョーとミュージック・ソーをやっている人がいました. バンジョーは調弦次第でA♭管にも合わせてもらえるかも知れませんが,熱心にチューニング・パイプで音を合わせは弾いているので,これも乱入は無理です. ヨーデルを歌ったりしてなかなかいい感じだったので,少し離れたところで,こっそり合わせてみたりしてみました(^^;)

ビールを飲んで,焼そば,たこ焼き,焼とうもろこし,etc. を食べて,ついでに冷酒も飲んで,日もとっぷりと暮れて,いい気持になったところで,夜桜の下で,しばし尺八を吹きまくりました. さくら,荒城の月,朧月夜,花(春のうららの隅田川),卒業写真(ユーミン),影を慕いて,などなど. たまに立ち止まって聞いてくれる人もいましたが,たいていは素通りです. ただ,ホームレス(らしき)のオジサン(お爺さん?)が一人,立ち去りがたい様子で,長いこと聞いていてくれました.


再来週末は,角館,弘前の桜見物に行くことになっています. 津軽は,私の吹いている尺八・根笹派錦風流の伝承地です. もちろん尺八(2尺管にすべきでしょうか)は持って行くつもりです. 弘前城で,根笹派の曲を,絶対に何か,吹いてこようと思っています.


2009.04.12

法事

法事があり,浜松まで行ってきました. 車で往復しましたが,「ETC車千円」のおかげで,車の量も運転の質もいつもとは随分と違い,疲れました. まったく,なんちゅう馬鹿げた「政策」なのかと呆れます. 経済波及効果があると思えないし,それよりなにより,環境問題をどう考えているんでしょうね. 因みに,我が家の車にはETCが付いていません. 在庫切れとかで,付けられませんでした. おかげで,1万円以上も余分に払ったことになります. 個人的にも,腹が立ちます.

さて,法事には,もちろん尺八は持参しました. 今回は,2尺7寸管(G管)の長管にしました. ただし,今回は法事の中でではなく,法事の翌朝,お寺の本堂で一人だけで献笛させていただきました. ご住職には前日にお願いしておきましたので,朝伺うと,すでに準備をして待っていて下さいました. 布袋軒三谷を吹かせていただきました. ご住職には「法事の中で吹いてくれたらよかったのに」とおっしゃっていただきましたが,本堂で一人で吹く方がずっと気持ちが良いし,かえって供養にもなったような気がします.


2009.04.22

テルミンと琵琶法師

1年前から車通勤になり,本屋などに滅多に行かなくなってしまいましたが,久しぶりに今日は町を歩く機会が取れました.

まずは,楽譜や楽書,それに楽器も扱っていたはずのお店(書店の楽器部)に行きましたが,たどり着いてびっくり. 本も楽器も何もなく,受付だけのある妙な場所になっています. 受付の女性に聞けば,2年ほど前から楽器や楽譜の取扱いはやめたとか. そんなに楽器をやる人が減っているということなのでしょうか. 売り場だった場所は,音楽教室になっていましたが.

しかたがないので,次は,同じ書店の,少し離れた普通の店に行きました. DVD 付きの岩波新書「琵琶法師」が目的です. 岩波新書もついにこんなことになってしまったか! ということと,虚無僧に関する参考にもなるのではないかいう興味もあり,気になっていたのでした.

ところでこの店で,想定外のものを見つけ,買ってしまいました. 学研の「大人の科学」です. ふろくがテルミンの号です. やっと手に入れることができました.

残念ながら,テルミンを組み立てるのは連休までお預けになりそうです. 明日は仕事で,明後日は早朝から東北に出発です. 琵琶法師は旅行中の電車の中で少しは読めるかも知れませんが,本ばかり読んでいると家内に怒られること必定です. 琵琶法師も連休までお預けでしょう.

とりあえず,琵琶法師の DVD は見ました. 凄いです. 20年前に収録されたもので,最後の琵琶法師とのこと. 琵琶法師はもういません. コスプレ虚無僧とはわけが違います.


2009.04.25

弘前の桜

桜の中の弘前城天守閣

今日,弘前の桜を見てきました. 弘前どころか,青森県(秋田県も)を訪れるのは初めてです.

弘前公園の桜はちょうど咲き切ったところで,まだ散り始めてもいない,まさに100%でした. 染井吉野も枝垂れ桜も,みんな同時に満開です. こんな見事な桜が見られるとは,思ってもいませんでした.

弘前城の天守閣の前で,天守閣に向かって,根笹派の「調・下り葉」を吹いて来ました. 津軽は根笹派錦風流の尺八の伝承地であり,もともと津軽の殿様が奨励して盛んになったのだそうです.

昨日は,平泉の毛越寺,中尊寺,北上の展勝地,そして角館と,駆け足で回ってきました. 毛越寺も中尊寺も,ずっと前から行ってみたいと思っていた所でした. 展勝地や角館の桜もよかったですが,ちょっと遅かったこともあり,今日の弘前には敵いません.

宿は盛岡のつなぎ温泉というところでしたが,ここは私には誤算でした. 温泉が悪い,という訳ではなく,食事が ... . 山の中なんですから,まさか海鮮料理づくしとは思いませんし,カニがメインとは想像もしませんでした. おかげで私はかなりひもじい思いをしました. なんで周りにいくらでもありそうな山菜とかの料理を出してくれないんでしょう. 道端ではフキノトウを何度も見かけ,涎が出る思いをしながらたどり着いた宿だったのでした.

桜は見事だったし,弘前城には(念願の)献笛もできたし,運転手さんの岩手訛りのあるガイドはとてもいい気持だったし,大満足の旅行ではありましたが,なんせ小型バスでの駆け足旅行,少々疲れました.



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